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クラウドソーシングの闇〜キュレーションサイト

 ライターの転身直後に、クラウドソーシングを通してキュレーション系の企業ブログの執筆を請け負いましたが、既に辞め、これまでの作業費は全て振り込んでいただきました。完全に縁が切れたので、そこで感じたことを書いていこうと思います。

 

 

うわっ…私の単価、低すぎ…?

 

 辞めた純粋な理由は、単価が低かったことです。詳細な単価表は省略しますが、基準値は1文字0.45円くらいから始まり、文字数が多いとボーナスが付くのではなく、なぜか割安になり「依頼主にとって」お得になります。

 

 単価表を開示された上で引き受けたのでそこに恨み言を言う筋合いはないのですが、仮に1時間で1,000文字書くとしたら、時給換算で450円以下なので、生きていくには辛い単価です。早く書けばこの計算は縮まりますが、早筆も立派なスキルの一つなので、安い単価で引き受けるべきではありません。

 

熾烈な案件の取り合い

 

 この単価を上げる方法があり、月内に大量に納品すると次月の単価が上がるという評価制度があります。しかしながら、共有スプレットシート(Excelぽいもの)で公開される案件はライター間での取り合いが激しく、運がいいか常に見張っていないと、好きなテーマどころか案件そのものがすぐに埋まって取れません。

 

 この共有スプレットシートには案件の「お題」を発案するエディターの署名があるのですが、そのエディター陣がライターも兼業しており、コンスタントに案件を取っているのです。彼らは自分で出した案件を自分で取ってライターとしての作業量を確保し、エディターとしての報酬も得ていると思われるので、この兼業状態でようやく充分な報酬が得られるのだと予想されます。

 

質より量

 

 上記の評価制度からも分かる通り、単純な「納品数」しか見られず、公開される成果物にはライターの署名はつかない為、質を上げようというモチベーションが出ません。それでも僕が担当した記事は単なるネットのコピペにならぬよう、雑学や補足を多く入れるように心掛けましたが、その点は評価されません。

 

なぜ引き受けたのか

 

 そんなに悪条件ならなぜ引き受けたのか?という話ですが、まず再就職手当が欲しかったことと、クラウドソーシングのサイト内での評価を得る為、とりあえず受注実績が欲しかったからです。こちらにも思惑があったので、一方的に先方を責められないわけです。

 

彼らも大変なんです

 

 一方的に低単価だという話をしてきましたが、辞める直前に僕が書いた記事の管理画面を覗いたところ、最もアクセスされたもので約700pvでした。このアクセス数で得られる収益から、ライター陣に何万円も支払っていると考えると、完全に赤字です。

 

やってみて「なぜ」が分かった

 

 実際にキュレーションサイトで執筆してみて、なぜあの手のサイトの独特の文面が出来上がるのかという疑問が解けました。

 

こそあど言葉が使えない

 

 いわゆるSEO対策の為で、一つの記事に特定のキーワード「◯◯」を、50個などという単位で仕込まなければなりません。そうなると、日本語の読みやすさは二の次になり、本来は「これは」「彼が」などで済む部分にも全て「◯◯は〜」「◯◯が〜」といった表現が続く、ドラクエの戦闘のような文章が出来上がります。

 

いちいち画像がある

 

 小見出しごとに外人のフリー画像があるのもこの手のサイトの特徴ですが、これは依頼主からのマニュアルで指示されています。これもまたSEO対策で、文字ばかりのサイトはGoogleの評価が低くなるらしく、ページ辺りの画像の掲載数を確保する為にこのような処置を行います。

 

いかがでしたか?が便利

 

 まとめ文に「いかがでしたか?」が多いという指摘がありますが、この言葉はとても便利なのです。依頼主から「読後を良くしてください」というマニュアル1ページ目の大指示があるのですが、結局のところ読者の興味を引くテーマが、殺人事件・芸能スキャンダル・男女の悪口・オカルト現象・etc…だったりするので、そこまでの陰惨な話をぶった切るのに「いかがでしたか?」を入れ、残り数行でなんとなく良い話風に終わらせてうっちゃるわけです。

 

SEO対策っている?

 

 以前の記事でGoogleアルゴリズム変更で個人ブログのアクセス数が減ったという話を書きましたが、「有益な情報」という観点ではこの手のキュレーションサイトの評価が下がるのも時間の問題、もしくは既に個人ブログ並みに評価が下がっている可能性があります。

 

 僕はこの仕事を通して「付け焼き刃のSEO対策、ブラックハットSEOには意味がないのではないか」という前職からの思いをより強固にしました。数字上のキーワードの多さのみで、低単価のライターがモチベーション低く執筆している記事で、本当の意味での集客が望めるのだろうか?という疑問が尽きません。

 

 現在のトレンドに逆行する考えですが、ネット上で古い人間に属する僕としては、価値ある情報を愚直に発信するという昔ながらのネット気質、ホワイトハットSEOに共感していきたい。そう考えた仕事でした。

 

SEO検定 一問一答 1級対応 2019年版

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