ゲイバーでバイトをしていた時に印象的だったお客様の話です。その方は現在は自営業をしているノーマルの男性で、オーナーのSNS経由でわざわざ都内のご自宅からお店に訪ねてきた人でした。お店の閉店後に帰る手段がなかった為、僕とファミレスで始発を待ちながらお話をしました。
僕が会社を辞めたという話を事前にしていたので、はじめはそれに対しての話が主でした。彼も若い頃に会社員で、その後に独立した経歴を持つので、意気投合した部分も多かったです。
彼はゲイに対して思いやりの気持ちがあり、自分の店に若いゲイのカップルが訪ねてきた際に丁寧に対応したところ「ゲイのカップルなのに変な顔をしないで対応してくれてありがとうございます」とお礼を言われたそうです。その際に「ああ、彼らは何と生き辛いんだろう」と感じたそうです。
僕が学生だった頃の話もしました。中高生の頃には既にゲイの自覚がありましたが、それ故に色恋沙汰とは距離を置いていたこと、今にして思えば若い頃にもっと恋愛をしておけば良かったとも話しました。彼は真剣に聞いていました。
その後に彼が発言したのが「生まれてくる前に天国で魂をもらう時、男の体に女の魂を間違って貰ってしまうんだよね」という内容でした。「本人にはどうにもできないものね。」とも。
これ、もし無自覚で言っているノーマルの方がおられるなら、けっこうNG発言ですよ。「お前は間違ってる」と取られかねないので。ただ、彼についてはそこまでの会話でゲイに対する思いやりが伝わってきて、決して悪気のある発言ではないと分かったので、特に何も言いませんでした。
一方で、こういう言われ方をするとすぐに怒髪天になるゲイも居ますが、それについては同じ立場としてもっと冷静になって欲しいと思います。ノーマルの方はそもそもゲイについて考える機会がなく、何が良くて何が悪いのか分からない。そこに言葉狩りのようにまくし立てるのは違うと思うのです。
深夜のテンションで上記の「天国て間違えた」をけっこうな回数言われつつも、僕も疲れて眠かったのでお互いにフラフラのまま始発の時間を迎えました。それ以来、彼は来店することはなく、僕も辞めてしましましたが、印象的な一夜でした。
うちの息子はたぶんゲイ(1) (ガンガンコミックスpixiv)
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